特集展示 黄雀文庫所蔵 鯰絵のイマジネーション

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特集展示 黄雀文庫所蔵 鯰絵のイマジネーション 未分類

江戸時代に流行した「鯰絵」を紹介する特集展示が、国立歴史民俗博物館で開催されます。

特集展示 黄雀文庫所蔵 鯰絵のイマジネーションについて

幕末、地震が頻発した日本では、その元凶とされた地中の大鯰をモティーフとした版画が、多彩な主題や趣向でつくられ、幕府から禁止されるまで、200種を超えるものが発行されました。同展示では、初公開の黄雀文庫が所蔵する鯰絵コレクション約200点が、一堂に展示されます。地震の恐れや世相の風刺、世直しへの願望など、当時の民衆のさまざまなな思いが投影された豊かな想像力を垣間見ることのできる内容です。

鯰絵のイマジネーション 開催趣旨

安政2年10月2日(1855年11月11日)の夜に発生し江戸の町に甚大な被害をもたらした安政江戸地震の直後から、被災状況を伝える瓦版などさまざまな出版物が売り出されました。なかでも、地震の元凶とされた地中の大鯰をモチーフとし、今日「鯰絵」と呼ばれる戯画的版画は、同年末に禁止されるまでの間、200種を越えるものが発行されたといわれています。

鯰絵の多くは地震の元凶と信じられていた大鯰をモチーフとしていますが、鯰を制する側の鹿島神や要石などを題材にしたもの、被災して損害を被った富裕者たちを描くものなど、さまざまな主題と趣向を取り入れ、ユーモアに富んだ画面をつくりあげています。鯰絵には地震に対する不安や怖れ、震災後の世相に対する風刺、あるいは世直しへの願望など、民衆のさまざまな思いが投影され、歴史学や民俗学などの研究対象として注目されてきました。

本展では、黄雀文庫所蔵の鯰絵コレクションの初公開を通して、未曽有の災害に遭いながらも、諧謔の精神でたくましく乗り越えようとした江戸の民衆の豊かな想像力を、主として江戸の都市文化の文脈の中でとらえようと試みる企画です。

特集展示 黄雀文庫所蔵 鯰絵のイマジネーション

特集展示 黄雀文庫所蔵 鯰絵のイマジネーション

鯰絵のイマジネーションのみどころ

  • 民衆は大地震の元凶に何を見、そしてそれを防ぐものとして何に期待したのか?
  • 大津絵の画題や歌舞伎の一場面をパロディ化した手並みの鮮やかさ
  • 逆境にも負けず、諧謔の精神で乗り越えようとする民衆のエスプリを見る
  • 鯰絵の中に民衆の世相へのちくりとした風刺を見る
  • 従来あまり知られていなかった鯰絵出版のメカニズムを垣間見る

江戸に大きな被害をもたらした安政江戸地震の直後から、地震の被害状況を伝える絵図や震災後の世相を描く錦絵、あるいは地震誌というべき書物などさまざまな出版物が生み出されました。プロローグでは、国立歴史民俗博物館の所蔵品を中心に、安政江戸地震以前の善光寺地震のものなども含め、地震に関する多彩な出版物を紹介します。

特集展示 黄雀文庫所蔵 鯰絵のイマジネーション

第一章 地震の被害

黄雀文庫から安政江戸地震の直接的被害を伝える絵図や地震誌の類と、その後の被災生活などを描く鯰絵を紹介します。地震後を描く主題には、死者を供養する施餓鬼会や、野外での被災生活などが見出されます。

第二章 鹿島・要石・神馬(信仰と鯰絵)

地震の原因は地中深く棲む大鯰、それを普段は鹿島神が要石で抑え込んでいたと考えられていました。安政江戸地震が起きたのは、たまさか神々が出雲に集い留守になる神無月。鹿島神の留守を預かる恵比寿の不注意で鯰が暴れました。鯰絵にはこうした当時の俗信を面白おかしく描き込んだものが少なくありません。

第三章 損する人・得する人

地震により仕事にあぶれた人々や財産を失った持丸(金持ち)がいる一方で、復興景気の中で大工や左官など建設業に携わる職人たちは賃金が高騰して潤いました。損失を蒙った人々が鯰を痛めつける一方で、仕事が増えた人々は鯰を庇おうとします。地震後のそうした世相を風刺した鯰絵には、富の再配分への期待感が感じられるものもあります。

第四章 パロディ

鯰絵には人気のある歌舞伎の一場面や流行歌、門付芸、番付や年代記などのパロディになっているものが数多く見出されます。それらは地震後の世相を伝えてはいますが、いかに巧みに「もじる」かに主眼が置かれているようで、江戸の人々の豊かな諧謔精神が見て取れます。

第五章 一枚摺り

黄雀文庫から地震に関して売り出された墨摺の一枚摺りをまとめて展示します。安政江戸地震に関する一枚摺りは被災地域や御救小屋を示すもの、引札や番付、身元保証書などの文書のパロディで地震の被害を伝えるもの、狂歌に被害や世相を詠み込むものなど多彩です。

第六章 その他

大津宿の土産として知られる大津絵には「瓢簞鯰」という画題があり、鯰絵に繰り返し取り入れられています。この章では瓢簞鯰をもとにした鯰絵、さらに鯰絵以外で瓢簞鯰のモチーフを取り入れた錦絵類を展示します。また、地震後の世相をもとにした役者絵なども紹介します。

エピローグ

一時的に大流行した鯰絵は、その後の風刺画にも少なからず影響を与えています。エピローグでは、国立歴史民俗博物館が所蔵する戊辰戦争の風刺画などをもとに、幕末の風刺画と鯰絵の関連をさぐります。

鯰絵のイマジネーション 概要

名称 特集展示 黄雀文庫所蔵 鯰絵のイマジネーション(とくしゅうてんじ おうじゃくぶんこしょぞう なまずえのイマジネーション)
所在地 〒285 – 8502 千葉県佐倉市城内町117
開催期間 2021年7月13日~9月5日  9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) ※休館日は毎週月曜(8月9日は開館)
開催場所 千葉県佐倉市 国立歴史民俗博物館 企画展示室A
交通アクセス JR総武本線「佐倉駅」から「田町車庫行」のバス「国立博物館入口」・「国立歴史民俗博物館」下車(くらしの植物苑は「宮小路町」下車)
料金 一般600円、大学生250円、高校生以下無料
問合せ先 ハローダイヤル 050-5541-8600
ホームページ https://www.rekihaku.ac.jp

 

出典:国立歴史民俗博物館